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宝選品

当たり前のように店頭に並ぶ、美しく、歪みのない、360度どこから見ても完璧な器たち。

陶磁器業界に限った話ではありませんが、市場においては常に完璧が求められ、製品の個体差は受け入れらないのが現状です。
ものづくりをする中で、どうしても出てきてしまう訳ありの器は、行き場をなくし工場(こうば)の中に眠っています。それらが日々積み重なる様子は、作り手から見ても大変悲しい気持ちになります。

例えば鉄粉による黒いシミ。

青磁の釉薬は、原料となる青磁鉱石を細かくし、水と混ぜ合わせることで作られますが、青磁鉱石は天然(大川内山産)のものですので不純物が混じっています。

その後不純物を取り除く作業を行いますが、どうしても限界が。
取り除けなかった不純物(鉄粉)は最終的に黒い点として表面に現れます。ほかの器と同じように心を込めて作り、どんなに注意を払っていても出きてしまう鉄粉。
それらの器は市場のニーズからは弾かれ、そして倉庫に眠ります。

その他にも、生地や釉薬の表面に、製造・加工過程で生じた小さな『こすり傷』、
手作業による成形と焼成の過程で生じた若干の『形状の歪み』、
釉薬が焼成中にうまく付着しなかったために釉薬が部分的に弾かれる『釉薬の弾き』、
撥水剤の塗布加減により一部に見られる『撥水剤の濃淡』など、
店頭には出せないと判断される理由は沢山あります。

どれも使用する上で全く問題なく、ただ市場の求める完璧とは違うために、正規の流通からは外され、行き場をなくしているのが現状です。

A品でもB品でもない。

私たちは、このような器を『宝選品』と呼ぶことにしました。

職人が作る器に、AもBもありません。
どれも同じように1枚1枚手作業で作ったものです。

昨今のSDGsやサステナブルといった世の中の流れから、訳あり品を通常商品として扱う取り組みも見られるようになってきました。

しかし、鍋島焼は「お殿様の愛した器」です。

江戸時代当時は、採算度外視で優品だけを作り続けていた産地であり、その歴史と誇りも大事にしていきたい。
それ故、店頭に置けない器を正規の値段で売るわけにはいきません。

鍋島虎仙窯は不定期で、日常使いとしては問題ないものを厳選し、販売しています。
その個性を受け入れられるのであれば、正直こんなにお得な買い物ってないですよね?

まるで宝探しをするように、うつわ選びを楽しんでほしい。

そんな思いを込めて、弊社では個性派の器を宝選品(ほうせんひん)と呼んでいます。ちょっとした黒点も、味わいとしてご愛用いただければ幸いです。

そして最後に。
料理人を目指されれいる方や、これから飲食店を始められる方、料理教室などで器が必要だという方がいらっしゃれば、ぜひご連絡下さい。器に関して、色々なご相談にのれると思います。
(食器の販売目的でない方をお待ちしております。)