ABOUT
「鍋島」は世界に誇る日本磁器の代表として、現代の愛陶家が真っ先にその名を挙げるほどに愛されています。 その卓越した技術力とデザイン性は、世界各地の名窯の名品と比べても何の遜色もなく、むしろ際立つ様式美を備えていることでも知られています。 1675年(延宝3年)、現在の伊万里市大川内山に鍋島焼は誕生いたしました。 当時(江戸時代)肥前地域を統治していた鍋島藩が、その威信により藩直営の藩窯として開窯したのが始まりです。 その時代の鍋島焼は一般庶民に出回ることは決してなく、鍋島藩が他藩の将軍や大名たちに贈る第一級の献上品として創出されていました。 御用窯の運営を強化するために、31名の優れた陶工が各地から集められましたが、藩窯の入口には関所が設けられ、陶工たちが藩の許可なく出入りできないよう管理が徹底されていました。 陶工たちの持つ高度な技術が他藩へ流失することを防ぐためです。鍋島家は、国内最高峰の技術集団である陶工たちへの高待遇の援助と高水準の育成を惜しまず、その時代に侍だけに許されていた苗字帯刀を陶工たちに許可するなど、藩による雇用が実現していました。これは1871年(明治4年)新政府による廃藩置県が施行されるまで続きました。 鍋島焼には大きく分けて、色鍋島、藍鍋島(鍋島染付)、鍋島青磁が代表として挙げられ、いづれも国内最高峰の磁器として知られています。 現在、藩窯としての鍋島焼はなくなりましたが、私たちは現代の民窯として、鍋島の技術の継承と最良の青磁鉱石を受け継ぎ、焼造しております。